錬士について

限られた時間の中で日本の技術をお届けしたい。

それが私たちの想いです。

錬士の意味

プラチナを鍛える

『錬』という漢字には

金属をねりきたえる。心身や技芸をきたえる。

という意味があります。

千日の稽古をもって鍛となし
万日の稽古をもってとなす

江戸時代初期の剣術家、宮本武蔵の言葉です。

『錬士』とは剣道の称号のひとつで、段位が五段に達した者のうち人格技量にすぐれ、剣道の指導・普及・発展に貢献した者に授与する称号となっています。

私たちは剣ではなく槌を持ち、
その言葉に恥じぬよう信念を持ち、

指輪を作っていきたいと思っております。

こだわり

結婚指輪の鍛造製法 地金を溶かしたり削ったり

錬士の結婚指輪は、全て日本人の職人によって作られています。一生ものとなる結婚指輪は、一生に耐えられる品質が必要であると考えています。

結婚指輪の『質』とは、「強度・耐久性」「素材」「つけ心地」です。

強度・耐久性について

結婚指輪の『強度・耐久性』は、「寸法」「製法」「素材」で決まります。

寸法

寸法は、強度において最も重要な要素です。考え方はとてもシンプルです。

「細いは弱い、太いは強い」

例えば「幅1.8mm、厚み1.3mm」の指輪より「幅2.5mm、厚み1.7mm」の指輪の方が素材の使用量が多く、体積、重量も大きいため強くなります。

鍛造の結婚指輪 こう丸 オーバル 寸法比較
長い職人生活の中で

私たちは、何度も変形した結婚指輪を見てきました。何回も修理してきました。そういった変形した結婚指輪の特徴は、細くて薄い指輪ばかりです。例えば「幅1.8mm、厚み1.3mm」のような指輪です。

例え、有名ブランドの商品であっても、デザインが素敵であっても、簡単に変形してしまっては質が高いとは言えません。

結婚指輪が変形する原因のほとんどは、最初から弱い指輪だったということで、残念ながらその様な指輪が販売されている現実があります。

修理をすることで歪んだ指輪を直すことはできますが、金属を足さなければ強度を高めることはできないです。一度変形してしまった指輪は、金属疲労のくせがついてしまい、再び変形するのは時間の問題です。

初めからしっかりした強度の指輪ならば安心

錬士では、末永く身に付けることができる結婚指輪をお届けしたいので、強度の弱い『幅2.0mm以下、厚み1.5mm以下』の指輪をお作りしていません。

製法

指輪の製法は大きく分けて「鋳造(ちゅうぞう)」と「鍛造(たんぞう)」の2種類があり、「鍛造(たんぞう)」の方が強い指輪を作ることが出来ます。

結婚指輪の鍛造製法 地金を溶かす

「鋳造(ちゅうぞう)」とは、溶かした金属を型に流し込んで指輪を作る製法です。金属を流し込む際に、気泡が入ったり、密度にムラがでたりと、強度が弱くなる原因ができます。

「鍛造(たんぞう)」とは、金属を直接叩き、鍛えながら指輪を作る製法です。金属を直接叩き、鍛えることによって、気泡の隙間がなくなり、密度が高くなり、強度が増していきます。

錬士では、全ての結婚指輪を鍛造(たんぞう)で製作しています。

素材

素材の強度・耐久性については次の項目で詳しく説明しています。

素材について

『素材』に求められる要素は「強度・耐久性」「耐食性」「金属アレルギーへの配慮」です。

強度・耐久性

結婚指輪に使われるプラチナ・ゴールドは、純度100%の純プラチナ・純金を使うわけではなく、割金と言われるその他の金属を混ぜて作られています。

純度100%のプラチナ・ゴールドを使用しない理由は、強度が弱過ぎて、すぐに変形してしまうからです。

鍛造の結婚指輪の素材 プラチナ ゴールド

プラチナの結婚指輪は、錬士では純度95%のPt950でお作りしています。

プラチナを95%に、残りの5%はパラジウムとルテニウムを混ぜています。ルテニウムを配合することによって、硬度が高かまりハードプラチナになります。

純度90%のPt900の結婚指輪も多く販売されていますが、10%をパラジウムのみで配合されているものがほとんどです。Pt900は意外と柔らかく、しっかりとした寸法でなければ変形しやすいです。

プラチナの結婚指輪は、Pt950のハードプラチナがおすすめです。

ゴールドの結婚指輪は、金を75%使用し、残りの25%は色味によって配合が変わります。

イエローゴールドは、銀を15%、銅を10%配合しています。ピンクゴールドは、銀を5%、銅を20%配合しています。ホワイトゴールドは銀と銅とパラジウムが配合されています。

稀に、純金やグリーンゴールド、ブラックゴールドを使用して指輪を作ることがありますが、それらの素材は強度が低く簡単に変形してしまうため、コンビネーションとしてデザインに取り込み、強度の高い素材と合わせることで変形しない結婚指輪を作り上げます。

耐食性

耐食性とは腐食しにくい性質のことで、錬士では変色のしにくい素材のみを厳選して使用しています。

プラチナは酸化もせず錆びる心配もありません。汚れたり、小傷がつくことはあっても、変色することはないので、化学的にも安定した貴金属です。

K18ゴールドは、カラーによって変色のしやすさに多少差はありますが、どれもそこまで心配する必要はないです。

金属アレルギーへの配慮

金属アレルギーには相性があり、どの金属が苦手かは個人差があります。金属アレルギーのある素材を身につけても、「合金で少量なら大丈夫」という方や「全くダメ」という方もいます。

正確には個人的に調べていただかないとわからないですが、一般的に金属アレルギーの疑いが高い素材の傾向はあります。

プラチナ・ゴールドの結婚指輪に使用されている素材で、金属アレルギーの疑いが高いのは「パラジウム」と「銅」です。

パラジウムが含まれている素材は「Pt950」「K18ホワイトゴールド」です。

それぞれ含まれている量は以下の通りです。

  • Pt950:2~3%程
  • K18ホワイトゴールド:10%

パラジウムアレルギーを持っている方でも、「Pt950」はほとんど気にすることはないです。「K18ホワイトゴールド」は避けることをおすすめします。

銅が含まれている素材は「K18ゴールド全般」です。

それぞれ含まれている量は以下の通りです。

  • K18イエローゴールド:10%
  • K18ピンクゴールド:20%
  • K18ホワイトゴールド:7.5%

銅アレルギーを持っている方は、プラチナをおすすめします。どうしてもゴールドが好みの場合は、K22やK24といった極めて高純度のゴールドを、コンビネーションとして使用することをおすすめします。

金属アレルギーについて詳しく知りたい場合は相談してください。

つけ心地について

つけ心地の良い結婚指輪を実現するためには「しっかりとした厚み」「指輪の角を取った内こう丸」が大切な要素です。

結婚指輪のつけ心地

しっかりとした厚みのある指輪は、しっかりとした内側の丸みを作ることができます。

厚みが薄い指輪は、内側の丸みを作ることに限界があり、角が引っかかる指輪になります。

指輪の内側がしっかりと丸いと、指通りが滑らかになります。それと丸みがあることで、肌が逃げる箇所が増え、圧迫感を感じにくくなり、指輪を身につけたときに肌がぷにっとなる現象を軽減できます。

末永く身につける結婚指輪は、つけ心地にもしっかりとこだわりたいです。

低価格の理由

鍛造の結婚指輪 ペア着用イメージ

錬士の結婚指輪は価格破壊だと思われるかもしれません。もはや安すぎて怪しいと思う人もいるかもしれないです。しかし、破壊したいのです。

その理由は「想い」と「職人の工賃」の2つです。

想い

限られた時間の中で

日本の技術をお届けしたい。

絶滅危惧種

現在、日本人のジュエリー職人は絶滅危惧種とも言えるほど減少しており、若手も全く育っていない状況です。ジュエリー職人の業界も高齢化が進み、若くて40代と言われています。

一人前の職人

場数を踏み、経験と知識を養うことで一人前の職人となっていくわけですが、ジュエリー業界の不景気もあり、いい職人が生まれない環境にもなっています。

例えば、一粒1,000万円するような宝石を指輪やネックレスに留めることができる職人は、一粒数百万円といった宝石を何度も留めている職人です。今はそんな仕事がなくなってきており場数を踏めないのです。

その結果、バブルを生き抜いてきた世代が最も技術が高く、継承されないまま消滅の危機に瀕しているわけです。

日本のブライダルジュエリー

日本のブライダルジュエリーブランドでも、結婚指輪を製作している日本人は珍しくなっています。「Made in Japan」と言っているブランドも、実際手を動かしているのは日本にいる外国人というケースは多いです。

やはり日本の技術は高いです。事実、「つけ心地」にこだわっている結婚指輪は、圧倒的に日本のブランドが多いです。海外の有名ブランドであっても、意外と「つけ心地」にはこだわっていないです。

安い結婚指輪の闇

価格が高くてしっかりした結婚指輪はたくさんあります。しかし、安くてしっかりした結婚指輪を探すのは困難です。なぜなら、結婚指輪の価格は素材の使用量で決まるからです。

安い結婚指輪を実現するには、素材の使用量を減らす必要があります。そのため、細くて薄く、弱い指輪になります。そういった指輪は簡単に変形します。

もし、「強度が低く変形のリスクが高いです。」と説明されれば、たとえ安かったとしてもその結婚指輪を購入検討しますか?

私からすると、「耐震性に不安があり、雨漏りする家」を売っているようなものです。

しかし現実は、そんな説明もなく平然と「粗悪な結婚指輪」が売られています。もちろん売っている側は弱いことを理解しています。

私たちはそんな悪しき習慣を破壊したいのです。

限られた時間の中で

職人の高齢化、職人の減少によって、「日本の技術」をお届けするのには、もう時間が限られています。これはジュエリーだけでなく、様々な業界にも言えることだと思います。

そんな中、私たちは少しでも多くの方に「日本の技術」をお届けしたいと考えました。

値段の高い、安いは関係なく、
しっかりとした結婚指輪を届けたい。

それが私たちの想いです。

職人の工賃

私たちは決して安売りしているわけではないです。むしろ、ジュエリーショップで売られている結婚指輪よりも職人の工賃は高いです。

一般的なジュエリーショップは、「材料費 + 職人の工賃」までを『原価』とし、そこに2.5~3倍(ブランドは5倍も当たり前)を掛けて価格がつけられています。

そういった意味では、錬士の結婚指輪は『原価販売』ということになります。

おふたりにとっては「安くてリーズナブル」、職人にとっては「高単価の工賃」

一見矛盾しているようなことですが、「職人に直接依頼」をしていただくことで実現できました。

※「職人に直接依頼」をしていただくため、ご不便をおかけすることがあるかもしれないです。

・店舗がございません

直接お会いする場合は、工房にお越しいただいております。社会科見学の様な感覚でお越しいただけたらと思います。

・接客専門スタッフがいません

直接職人が対応させていただきます。仕入れや業者との打ち合わせなどで、ご連絡が取れない時間もあります。

・パンフレットのご用意がりません

パンフレットが必要ないように、ホームページを充実させています。ご不明点がありましたらご相談ください。

職人紹介

錬士の職人紹介 境敏男

境 敏男 Toshio Sakai

24歳でジュエリー職人として独立し、30年以上に渡って職人一筋で腕を振るっているベテラン職人。

職人には珍しく、行動力と柔軟性が高いため、境氏に頼めばどんなジュエリーにも対応してもらえると、現在でも取引先は多い。

錬士の職人紹介 伊藤東

伊藤 東 Azuma Ito

オーダーメイドや、一点もののジュエリーを得意とし、数々の作品を生み出してきた実績を持つ。

安い工賃でも、品質を重要視しない依頼でも、自分の仕事には手を抜けないといってキッチリやってしまう、まさに不器用な日本人の職人。

日本人の鍛造職人

国吉 文雄 Fumio Kuniyoshi

主にハイジュエリーを製作する本物のジュエリー作家。自由な発想から、独特な世界観の作品を得意とする。

今まで生み出した作品は3,000以上で、90%以上が売却済み。最も高い金額がついた作品は、3ctピンクダイヤモンドの指輪で、2億円を超える。

ダイヤモンド鑑定士

新井 勝幹 Katsuki Arai

宝石鑑定士として権威のある「GIA G.G.」の資格を所持。

日本語、英語、中国語、韓国語を話し、国内のみならずアジアを中心に活躍する、ダイヤモンドのエキスパート。

錬士の職人紹介3

国吉 栄一 Eiichi Kuniyoshi

主に錬士の運営、企画、デザインを担当。

ジュエリーの販売、製作、店舗運営、会社設立など、幅広く業界に携わる経歴を持つ。業界の裏も表も見てきた結果、本当に正しい結婚指輪をお届けしたいと、錬士を企画する。

私たちは不器用な職人です

商売上手ではないので、駆け引きもできません。
本当に正しい知識、真実のみをお伝えさせていただきます。