【男性用】結婚指輪の選び方をキャリア30年の職人が語る
結婚指輪は「夫婦の愛の形」として、末永く大切にしたいとものだと思います。結婚指輪を身に着けることで、結婚を実感する方も非常に多いです。
しかし、結婚指輪・婚約指輪は女性が中心になることがほとんどで、男性目線で語られることは多くはないです。
そこで、男性の結婚指輪の選び方について、キャリア30年の職人が語りたいと思います。
私たちはジュエリーの職人です。キャリアも30年以上と、世間的にはベテランと言われる経歴だと思います。今でも毎日、様々なジュエリーを、様々素材、様々な製法で製作しています。
もちろん結婚指輪も数多く作ってきました。
職人は依頼された仕事をキッチリこなすことが求められるので、勝手にデザインを変えたり、個性を出したりするわけにもいきません。
今まで依頼された結婚指輪の中には、デザインが悪かったり、強度が弱かったりするものもたくさんありました。色々な結婚指輪を作ってきた結果、作り手としておすすめできる結婚指輪と、そうでないものがあるのは事実です。
結婚指輪を選ぶ側になることは職業柄ないですが、職人目線の結婚指輪の選び方を語っていきます。
男性は女性と比べ、力が強よかったり、使い方も荒かったりということが一般的に言われています。事実、結婚指輪が変形する方も女性と比べ男性の方が圧倒的に多いです。
そのため、しっかりとした品質のものをおすすめしたいです。
男性が結婚指輪を選ぶ際に意識するポイントは「デザイン」「強度・耐久性」「つけ心地」「サイズ」です。
以上の4つの点についてご紹介いたします。
デザイン
一般的な傾向として男性は、シンプルなデザインを好む方が多いです。結婚指輪・婚約指輪といえばプラチナが最も人気ではありますが、女性と比べて男性の方がよりプラチナを選ぶことが多いです。結婚指輪にダイヤモンドなどの宝石を入れる方も少数で、8割の方は石無しを選ばれています。
女性と比べて、アクセサリー全般着け慣れていない方が多いので、なるべくシンプルなものといった感じです。
実はシンプルな結婚指輪の方が理にかなっています。
なぜなら、結婚指輪を永く身につけていると生活傷は避けることができません。どんなにこだわったデザインの結婚指輪でも、完成時がベストパフォーマンスで、時間とともにくすんできたり小キズが増えてきたり、綺麗な状態を末永く維持するのは難しいです。
シンプルなデザインであれば完成時のイメージから極端に変わることがないのと、経年変化も含めて”味”と考えることがしやすいというメリットがあります。
それでは、具体的なイメージを交えて語っていきます。
まずは結婚指輪のデザインを大きく2種類に分けていきます。
左:「正面が決めっているデザイン」 右:「360度同じデザイン」
指輪を身につけていると、くるくると指輪が回ることがあります。結婚指輪のデザインの向きが気になるのであれば、「360度同じデザイン」がおすすめです。
正面が決まっているデザインの場合、指輪の厚みが部分的に違うことが多いです。表のデザイン部分が最も厚く、反対の裏側が最も薄いと言った感じです。
強度の観点から、最も薄い部分が金属疲労を起こしやすく、最悪の場合変形する恐れがあります。そのため、正面が決まっているデザインは、正面以外の部分が極端に薄く作られている結婚指輪は選んではいけないです。
結婚指輪の仕上げ方法を見ていきます。まずは「鏡面」と「つや消し」です。
鏡面仕上げに代表される艶のあるデザインは、身につけている時間とともに艶が落ち着いていきます。逆につや消しデザインは、衣服などに擦れて艶が出てきます。
「鏡面はずっと鏡面のまま」「つや消しはずっとマットのまま」と思っていた方は多いと思いますが、最初のデザインは違くても最終的には同じようになっていきます。
つや消しについては様々な雰囲気の加工がありますが、早ければ数日で初めの雰囲気は失われます。
もちろん最初のイメージは大切なので、お好きな方を選んで大丈夫です。
次は「槌目」と「ヴィンテージ(アンティーク)」です。
「槌目」「ヴィンテージ」ともに、日々の生活で必ずできる小キズが気にならないと言うメリットがあります。デザインとしても味わい深くおしゃれで、とても人気のデザインです。
ハンマーで叩き模様を作っていくので、全く同じにはならないオンリーワンのデザインになるのも魅力です。
経年変化を楽しみたいと言う方は他のデザインがおすすめです。
デザインのまとめ
男性は女性と比べて、結婚指輪への関心が少ないことは事実です。あまりにも女性がリードし過ぎて選んでしまうと、将来 結婚指輪を身に付けなくなるというケースは少なくないです。
「なんでもいいよ」と言いながら「なんでもよくない」のは普通のことです。
「”おふたり”の想い」を大切にしてください。
男性の結婚指輪は、シンプルなデザインが好まれることが多いですが、デザインの好みは人それぞれなので、どんなデザインを選ばれても大丈夫です。
生活傷についても、「ふたりの歩み」という素敵な考え方もあります。
注意しなければいけないのは、デザインによって「強度・耐久性」に不安があると言うことです。例えば細身のデザインです。
「強度・耐久性」についてはこれから語って行きます。
強度・耐久性
男性は女性と比べて力が強く、指輪のサイズも大きい傾向があるので、指輪に負荷がかかりやすいです。
デザインについては先述した通り、どんなものを選んでも大丈夫ですが、
例え、有名ブランドの商品であっても、デザインが素敵であっても、簡単に変形してしまっては質が高いとは言えないです。
しっかりとした強度・耐久性の結婚指輪を選ぶことをおすすめします。
ここでは「寸法」「素材」「製法」の観点から語ります。
「寸法」は、強度において最も重要な要素です。考え方はとてもシンプルです。
「細いは弱い、太いは強い」
結論から言うと、ある程度しっかりとした寸法の結婚指輪を選ぶことをおすすめします。
具体的な寸法については、好みやサイズなども関わってくるので個人差がありますが、『幅2.0mm以下、厚み1.5mm以下』の結婚指輪には注意してください。
細身の結婚指輪は価格が安いというメリットがありますが、こだわらずに選ぶと、歪んだり曲がったりと、簡単に変形する恐れがあります。
男性が細身の結婚指輪をご希望されるのであれば、
- サイズが男性の平均以下
- 素材に硬度の高いものを選ぶ
- 鍛造(たんぞう)製法の商品を選ぶ
以上の内容に全て当てはまるか確認してください。
素材についてはなるべく硬い素材を選びましょう。
最も人気のあるプラチナですが、「ハードプラチナ」を選びましょう。
詳しく説明すると、結婚指輪で使用するプラチナは1種類ではないです。例えば純度の違いがあります。一般的には「Pt900」「Pt950」の2種類のどちらかです。
Pt900はプラチナが90%、Pt950はプラチナが95%入っています。
純度100%の純プラチナを使わない理由は、強度が弱過ぎて、すぐに変形してしまうからです。
要するに、何を混ぜるかで硬さが変わってきます。
プラチナのジュエリーに配合する代表的な素材は以下の3つです。
- パラジウム
- ルテニウム
- イリジウム
この3つの中で、最もプラチナを硬くするのが「ルテニウム」です。
この「ルテニウム」が配合されたプラチナを「ハードプラチナ」と呼んでいます。
「Pt900」「Pt950」どちらの場合でも、「ルテニウム」が配合された「ハードプラチナ」を選びましょう
「Pt900:プラチナ90%、パラジウム10%」で作られた結婚指輪は非常に多いですが、「しっかりとした寸法」「鍛造製法」にこだわらなければ、意外と変形しやすいです。
プラチナにこだわった結果、「Pt900:プラチナ90%、パラジウム10%」に行き着いたということは、職人目線ではありえないです。
イリジウムについては、金属アレルギーの耐性が非常に高いことから、こだわりを感じる素材ではあります。しかし、価格が非常に高いことや、扱っているブランドが希少なため、極度の金属アレルギー持ち以外の方は、無理に検討しなくて大丈夫です。
プラチナの配合についてはブランドごとに違いがあるので、「ハードプラチナなのか、そうではないのか」はしっかり確認してください。
ゴールドの結婚指輪では「K18」が一般的です。海外ブランドでは「Au750」と刻印されていることも多いですが、どちらも金が75%入っているという意味です。
純度100%の純金を使わない理由は、強度が弱過ぎて、すぐに変形してしまうからです。
一般的に人気の「イエローゴールド」「ピンクゴールド」「ホワイトゴールド」は強度の高い素材です。
注意が必要なのは、珍しい色味のゴールドです。例えば「K18グリーンゴールド」「K18ブラックゴールド」です。こちらも、とても柔らかく変形しやすいゴールドです。
「色味が個性的」「人と被りづらい」という理由から選ばれる方がいますが、極太の寸法で作るか、コンビネーションでポイントとして使用するか、どちらかがおすすめです。
指輪の製法は大きく分けて「鋳造(ちゅうぞう)」と「鍛造(たんぞう)」の2種類があり、「鍛造(たんぞう)」がおすすめです。
「鋳造(ちゅうぞう)」は、溶かした金属を型に流し込んで指輪を作る製法。
「鍛造(たんぞう)」は、金属を直接叩き、鍛えながら指輪を作る製法。
指輪の中の気泡や密度のムラなどが、金属を直接叩き鍛える「鍛造(たんぞう)」の方が出にくいため、強度の高い指輪になります。そのため、以下のようなメリットがあります。
- 強度抜群で硬く変形しにくい
- 重量感と高級感がある
- 密度が高いため輝きが増す
一見メリットしかない「鍛造(たんぞう)」ですが、デメリットもあります。
初めにお客様目線のデメリットです。
- 価格が高い
- 完成までの期間が長い
- デザインのバリエーションが少ない
- 扱っているブランドが少ない
次に職人目線のデメリットです。
- 高い技術が必要
- 一つひとつ作るため、大量生産ができない
- そもそも出来る職人が少ない
メリット・デメリットを見ていただいても、指輪の「質」では「鍛造(たんぞう)」の方が高いことがわかると思います。
私たち錬士では、リーズナブルな価格で、短い期間でご納品が可能です。デザインのバリエーションについては、職人の技術次第でほとんどのデザインが可能です。
結婚指輪を「質」で選ぶなら「鍛造(たんぞう)」がおすすめです。
つけ心地
男性はアクセサリーをつけ慣れていない方が多いので、「つけ心地」にこだわらないと、結婚指輪を身に付けなくなってしまう傾向があります。
つけ心地の良い結婚指輪を作るには理論があります。それは、指輪の「厚み」「内側の丸み」「外側の指当たり」です。
指輪に厚みがあることで、しっかりとした丸みを内側に作ることができます。内側の丸みがある指輪は、滑らかな指通りと、皮膚が逃げる箇所ができるので圧迫感を軽減します。
外側の指当たりについては個人差がありますが、角が立っているデザインよりも丸いデザインが好まれることが多いです。角が立っているデザインは、指を閉じた時に気になるという方がいます。
指輪をつけ慣れることによって指当たりの感じ方は変わるので、試着をして確かめてください。
「つけ心地」の大切さは理解していただけたと思いますが、実は「つけ心地」にこだわっていない結婚指輪は非常に多いです。
特に海外ブランドでは「つけ心地」にこだわっているところはほとんどないです。もちろん誰もが知っている有名ブランドも「つけ心地」はいいとは言えないです。
日本のブランドは「つけ心地」にこだわるところが多いです。しかし、安いを売りにしているお店は「つけ心地」にこだわっていないです。
「つけ心地」が良い結婚指輪には理論があり、これまで語ってきた通りです。結婚指輪選びの参考にしていただけたら幸いです。
サイズ
初めての指輪が「結婚指輪」と言う方は非常に多く、男性は指輪をつけ慣れていないことがあります。そのため、ゆるい指輪を気にいる傾向があります。
初めて結婚指輪を身につける時は、「外れなくなったらどうしよう」という心理が働きます。しかし、指輪に慣れてくると「外れてしまったらどうしよう」と心理が変わっていきます。
最初はゆるくてもピッタリでも違和感はあるものです。それに、サイズのゆるい指輪は、歪みの原因になる恐れもあります。
結婚指輪のサイズはピッタリを選びましょう。
サイズについては、第二関節で引っかかるくらいのサイズ感がおすすめです。簡単に取れないサイズを選びましょう。圧迫感がないか、ゆるくないかもしっかり確認してください。
既製品の結婚指輪ですと、同じデザインであれば男性・女性の価格の差はあまりなく、ダイヤモンドが入ることで「女性の結婚指輪」の方が高くなることが多いです。
結婚指輪をオーダーメイド、手作りにする場合は、素材の使用量で価格を決めることが多いです。そのため、指のサイズや寸法が大きい傾向のある「男性の結婚指輪」の方が、素材の使用量も大きくなるので、価格が高くなることが多いです。
男性の結婚指輪の方が高くなると、遠慮したくなる方もいますが、サイズを小さくすることはできないので仕方ないです。間違っても極細の寸法にするなどはしないでください。
結婚指輪を着けるか着けないかは女性と男性で考え方は異なります。男性が結婚指輪を着けるタイミングについて紹介していきます。
毎日身に着ける
仕事中やプライベートなど関係なく、結婚指輪を毎日身につける男性はとても多いです。
そもそも結婚指輪は毎日身に着けるものだと考えていると思いますが、それでも男性が毎日着けていると女性は嬉しいと感じることが多いと言われています。
結婚指輪を毎日着けている方の意見は、「結婚したら着けることが普通だと思ってるから」という考えが多いです。
また、「結婚の証」「絆を感じたい」という理由もあります。
少し違った角度の意見で「外すのが面倒」「なくしたら怖いから外さない」などもあります。
結婚指輪を毎日着けることのメリットとして、周囲に結婚していることをアピールすることで、余計なトラブルを避けることが出来ます。また、仕事や人間関係でも有利になると感じてる方も多いです。
仕事以外の時に身に着ける
休日や仕事後のプライベートの時だけ、結婚指輪を身に着ける男性も多いです。
普段は結婚指輪を身に着けていて、仕事の時は外し、仕事が終わったら指輪を着けて帰るという方です。仕事の都合上、身に着けることができない方も多くいらっしゃいます。
まったく身に着けない
まったく身に着けない方は「失くしてしまいそう」という意見が一番多いです。仕事で結婚指輪を外す方は、着けたり外したりを繰り返すうちに、失くすことが不安になります。
しかし、そう言うのも都合のいい口実で、本心ではあまり着けたくないというケースは多いです。その理由は、結婚指輪に対して女性と比べて感心が少ないことや、指輪をつけていると落ち着かないと言った感じです。
結婚指輪を女性目線だけでなく、男性目線も考えて選ぶことが大事になります。そして、「つけ心地」は特に男性にとって重要です。
結婚指輪の購入方法はカップルごとに異なるものです。
伝統的な考え方だと、お互いに代金を支払い合うということがあります。「男性が女性へ」「女性が男性へ」。
例えば結婚式は、カップルが共同で取り組む最初の大きなお金が掛かることだと思います。どちらか一方が全額を払うと言うことは極めて珍しいと思います。結婚指輪もその中の一つとして考えるのであれば、合計価格をお互いが支払うと言うというのは、合理的な考え方だと思います。
家族の援助がある場合や、カップルの収入格差がある場合などは、どちらかが多めに支払う、または全額支払うというケースもあると思います。
デザインは”おふたり”の想いを大切にしてください
男性は女性と比べて、結婚指輪への関心が少ないことは事実です。あまりにも女性がリードし過ぎて選んでしまうと、将来 結婚指輪を身に付けなくなるというケースは少なくないです。
寸法は『幅2.0mm以下、厚み1.5mm以下』には注意してください
細身の結婚指輪は変形の原因になります。しっかりとした寸法がおすすめではありますが、細身にこだわる場合は、同時に「硬い素材」「製法」にもこだわってください。
素材はなるべく硬い素材を選びましょう
プラチナであれば「ハードプラチナ」。
ゴールドは「K18イエロー」「K18ピンク」「K18ホワイト」。純度の高いゴールドや「グリーン」「ブラック」は強度が低いので、しっかりとした寸法か、コンビネーションを選んでください。
製法は「鍛造(たんぞう)」がおすすめ
結婚指輪のストーリーは”今”も大切ですが、末永い”未来”も大切です。「鍛造(たんぞう)」であれば安心して身につけることができます。
ブランドやデザインにこだわりたくて「鋳造(ちゅうぞう)」を選ぶ場合は、「しっかりとした寸法」「硬い素材」にこだわってください。
「つけ心地」にはこだわりましょう
「つけ心地」が悪い結婚指輪は、将来身につけなくなる可能性が高まります。「つけ心地」がいい指輪には理論があり、語らせていただきました。結婚指輪を選びの参考にしてください。
錬士では、どなたでも安心して末永く身につけていける結婚指輪にこだわりお作りしています。
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錬士の結婚指輪について
職人の高齢化、職人の減少によって、「日本の技術」をお届けするのには、もう時間が限られています。これはジュエリーだけでなく、様々な業界にも言えることだと思います。
そんな中、私たちは少しでも多くの方に「日本の技術」をお届けしたいと考えました。
値段の高い、安いは関係なく、しっかりとした結婚指輪を届けたい。
それが私たちの想いです。
安心して着用できる結婚指輪をお作りしています
錬士では、安心して着用できる結婚指輪をお作りするため、品質に特にこだわっています。結婚指輪の品質は、「素材」「強度・耐久性」「つけ心地」によって決まります。
素材は、高純度で硬度の高いものを厳選して使用しています。
強度と耐久性に関しては、地金を加熱して叩き鍛える鍛造製法を採用し、安心できる寸法で仕上げています。
つけ心地には明確な理論があり、滑らかで快適な着用感を実現するため、丁寧に作り込んでいます。